こんにちは、 天乃 繭です。
親が認知症になり介護をしていかなければならなくなったとき、私達家族は様々な心の変化を経験していきます。
今の時代、本やネットで調べれば、すぐに知りたい情報が手に入る時代になっているのに、私は母が認知症かも?と疑いを持ち始めた頃からなかなか認知症について調べる機会が持てないでいました。
仕事をしながら介護をしていて手一杯だったことも事実なんですが、それよりも本当のところは、母が認知症だなんて認めたくない、受け入れられないという思いが強く、『介護』とか『認知症』という言葉を聞くだけでもイヤでイヤで拒絶反応状態だったのが正直なところですね。
だから認知症について調べようとも知りたいとも思わなかったんです。
でも今思うと、現実から逃げているのではなく、もっと早くにこの介護する人がたどる4つの段階を知っていれば違った時を送ることができたんじゃないかと思っています(全然同じだったりしてね。。。(笑))。
なので、今、かつての私と同じような思いをしている人がこの4つの段階を知ることで、少しでも気が楽になったり、少しでも光が見えてきたらいいなぁ、と思っています。
第1段階 戸惑い・疑念・不安
親が幾つになっても若くて元気だった頃の姿が私達の心の中にいませんか? 例え70歳・80歳、それ以上の歳になっていようとも。
なので、あれ?何か変?もしかして認知症?って思うような不可解な言動が親に出始めた時、私達家族は『もしかして』と不安な気持ちになったり、『そんなことあるわけないよね』との否定の気持ちになったり、色んな気持ちが生まれて不安定となり、現実がなかなか受け入れられずに一人で悩む時期です。
この、いわゆる早期の時期に専門医などをスムーズに受診できると早期発見・早期受診につながって、老化によるものなのか認知症によるものなのかの見分けもつき、もし認知症だった場合には的確な治療を始めることによって進行を遅らせることもできるんですがね。
本人も家族と同じように不安や戸惑いを感じている時期なので、状況的には早期受診はなかなか難しくなっちゃうんですよね。
第2段階 混乱・怒り・拒絶
今まで無縁だった認知症ということがいきなり身近なこととなり、なかなか現実を受け入れられない時期です。
認知症に関する知識や理解もほとんどない上に、本人も、認めたくない気持ちや今後どうなっていくんだろうとの不安・混乱する気持ちから、私達介護をする人との衝突も頻繁に起こり、そのためにイライラしたり怒鳴ってしまうことも度々です。
事実でないことを言ったり不可解な行動をすることに対しては、『何を言っているの!!』『何てことをするの!!』と言っては事実を理解させよう、わかってもらおうと必死になります。
認知症の親が見ている世界、住んでいる世界が現実の世界とは全然違うので、お互いがお互いを理解できず、精神的にも肉体的にも疲れきってしまう時期です。
私の場合、この第二段階から抜け出すのにものすごく長い時間を費やしてしまいました。
母が認知症であることにある程度の確信をもっていた時期なのですが、娘である自分がそのことを認めてしまったら本当に親が認知症になってしまうようにも思っていたし、事実はそうではないということを根気強く伝えていけばわかってもらえるようになるのではないかとの期待も捨てきれずにいたので、母には毎日のように『そうじゃなくって』と母の言うことを否定していたし、時には怒りが頂点に達して怒鳴ってしまうこともありました。
母よりも自分のほうがおかしくなってしまうのではないかと真剣に思っていましたね。
第3段階 あきらめ
現実を理解しない、不可解な言動をする、といったことを正常な状態に戻そうとすることからイライラが募り、時には怒鳴ってしまうことも度々で、介護する人は肉体的にも精神的にも疲れ果ててグッタリしてしまっていましたが、その長い繰り返しの中である時、そのイライラや怒り、現実をわかってもらおうという努力、それらは何の効果も意味も持たず、介護をする人にとっても介護をされる人にとっても、何のメリットもなくただただデメリットでしかない、といことをふと思い始める時が来るのです。
悲しいことですが、徐々にあきらめの境地になっていくんですね。
で、そのように思い始めると、イライラしたり怒ったりせずに対応できる方法を見つけ出すしかなくなるのです。
認知症の人に変わってもらうのではなく、自分が変わるしか道はないことを知ります。
認知症の親の介護をするにあたり、自分は今後決して怒ったりせずに接していこうと思った、という言葉を耳にしたことのある人は多いと思います。
私も本だったかテレビだったかで聞いたことはありますが、それは頭では十分わかっていることなのです。
できることなら自分もそのように接したいと誰でもが思っているはずです。
でも、現実はそんな簡単なことではありません。
優しく接しよう ⇒ 何でこうなるの? ⇒ イライラ ⇒ 時には怒鳴り ⇒ 怒ってしまった自分に自己嫌悪 ⇒ 次こそは優しくしていこう
この繰り返しです。
これを何度も何度も繰り返してしまうのです。
ある時から変わることが出来た、という『ある時』というのは人それぞれで、こうしたらそのように思える、そのように接することができる、といった公式などはあり得ないのです。
第2段階の暗い長い出口の見えないトンネルから抜け出すのはほんとうに大変なことなのですが、この第3段階での『ある時』というのが訪れるまで試行錯誤をしながら、とにかく自分で見つけ出し、自分で感じるしか方法はないのです。
そこが一番大変で辛いところですよね。
第4段階 受け入れ
第3段階までを経ると、介護する人は認知症の人の考えていることや言動が段々に理解できるようになります。
そして、その人のあるがままを受け入れられるようになります。
今まで感じていたイライラや怒りもかなり減るので、介護する人も介護される人も落ち着きを取り戻し、今までとは比べものにならないぐらい穏やかに過ごすことが出来るようになります。
とは言っても、日常のことですから、時にはイライラすることや怒ってしまうことだってあります。
ゼロになんてなかなかできませんが、それでも認知症を受け入れることができるようになれば今までとは全然違ってくることは確かです。
私も母の介護をしている中で、第2段階の怒りや拒絶・混乱の時期をとても長く過ごしてしまいました。
そんな中で、変わる大きなきっかけは何だったんだろうと振り返ってみても、『これだった!』っていうものがあったわけではありません。
でも、自分の中で何かが変わったことは実感しています。
それまで絶望感や苛立ち・不安しかなかったものが、いつの間にか今の母を受け入れられるようになりました。
何をどうすれば変わるきっかけができるのかわかればもっと楽なのに、と思ってしまいますが。。。。
関連記事『家族構成がわからない? 母にとっての『私』は誰?』も参考にしてみてくださいね。
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まとめ
介護をしていく上で、介護する人がたどるステップは4段階あります。
第1段階 戸惑い・疑念・不安
第2段階 混乱・怒り・拒絶
第3段階 あきらめ
第4段階 受け入れ
第1段階~第3段階までの時期は、本当に大変だと思います。
認知症はその人の育ってきた環境や性格、今現在の環境などによって症状も様々だと思うので、経験者の人がやった通り、言った通りには参考にはなるでしょうが、同じようになんてなかなかできないです。
十人十色なのですから。
介護する自分と介護される人との間で、この長い道のりを試行錯誤しながら歩いていくしかないのです。
頭でわかっているだけでは変われないから。。。。
長い長い道のりです。
少しでも早く第4段階に到達できるに越したことはありませんが、焦ることなく自分なりの方法を見つけて、認知症の親を認めながら付き合っていかれるといいですよね。
第4段階になったからといってももちろん毎日毎日笑顔だけで接することなんて難しいです。
時にはまた第2段階に逆戻りしてイライラしたり怒ってしまったりすることも多々あります。
でも、第4段階まで来れば、第2段階の時とは全然違います。
肩の力を抜いて自然体で介護できれば、介護される人も穏やかに落ち着いて過ごせるようになり、それによって共に笑顔で日々を送れるようになるといいですよね。
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