こんにちは、天乃 繭です。
突然ですが、
日本語が堪能ではない外国人実習生が介護の現場に!
あなたはこれをどう思いますか?
自分の家族を安心して任せることができますか?
2018年8月28日付け朝日新聞の一面に、『介護の実習生 日本語力どこまで』という記事が。
そして2面にも1面からの続きの記事として『介護人材確保 日本前のめり』「実習生の日本語能力 条件緩く」という見出しの記事が掲載されていました。
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私の全くの個人的な感想ですが、
『え? 外国人実習生が介護の現場に? まして日本語がままならない外国人が? 大丈夫? ホントに任せられるの?』って正直思っちゃいました。
決して外国人実習生がヤダとか悪いとか批判しているわけではないのですが。。。
その新聞記事によると、
日本では介護の人材不足が深刻で、団塊の世代が75歳以上となる2025年度には全国で約34万人の介護職員が不足するんだそうです。
その人材不足を解消するために、インドネシアやフィリピン、中国などから介護人材の受け入れを拡大すると。
そして受け入れ拡大に伴い、日本語能力に関する条件も緩和する、という内容でした。
そもそもこの介護現場で働く外国人の受け入れって、どのようになっていたかと言うと。。。
<外国人人材を受け入れ始めた2008年当時>
・日本入国時には、日本語能力は『N4』、そして1年以内に『N3』になるように
・『介護福祉士』の国家試験に5年以内に合格できれば働き続けることができるが、合格できなければ帰国しなければならない
となっていました。
ちなみに、この日本語能力検定試験がどのようなものかと言うと、
『N1』・・・最も難易度が高く、幅広い場面での日本語が理解できるレベル(評論などが読解できる)
『N2』・・・日常的な場面での日本語が理解できる + 幅広い場面での日本語がある程度理解できるレベル(新聞記事が読める)
『N3』・・・日常的な場面での日本語がある程度理解できるレベル(新聞の見出しが読める)
『N4』・・・基本的な日本語は理解できるレベル(漢字のある文章が理解できる)
『N5』・・・最も難易度が低く、基本的な日本語はある程度理解できるレベル(平仮名なら読める)
で、『言語知識』『読解』『聞き取り』の3つの分野で日本語のコミュニケーション能力をみるが、解答は全てマークシート方式となっていて会話や書き取りの試験はなし
というものです。
なので、日本に来て1年以内に、日常会話において聞く・話すことができ、新聞の見出しも読めるぐらいの『N3』レベルにならないといけなかったわけですね。
そしてその後の、
<2017年以降>
外国人の在留資格に『介護』を創設。
ちょっとわかりにくいので説明すると、
『在留資格』というのは、日本に滞在しながら行うことができる活動、という意味です。
もっとわかりやすく言うと、『介護』が『在留資格』の1つに新たに加えられたので、日本の介護専門学校などに通って勉強し(=留学)、『介護福祉士』の国家試験に合格すれば、『在留資格』を取得することができ、日本で介護の仕事をしていくことができますよ、というものです。(ちなみに、合格できなければ帰国しなければなりません。)
<2018年>
『技能実習制度』も利用できるように。
日本の介護技術を習得して自国に持ち帰って自国で活用する、という趣旨の『技能実習制度』が『介護』の分野においても可能となり、介護実習生は『介護福祉士』の国家試験を受けなくてもよくなったのですが、働けるのは最長5年となります。
<2019年4月~>
そして今回の『骨太の方針』で、一定の専門性や技術を有し、即戦力となる者の就労を目的とした『新たな在留資格』を2019年4月からスタートさせ、日本に滞在できる期間を5年から最長10年まで延ばせるように。
そして、政府は外国人介護実習生の受け入れの間口を広げるために、求める日本語の能力も引き下げ、入国時から1年以内に『N3』レベルに到達できなかったとしてもそのまま日本に滞在できる仕組みを検討しているそうです。
以上が、2008年から現在までの、そして来年度にかけての介護現場で働く外国人の受け入れの流れとなっています。
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でも、今回なぜ日本語能力を引き下げることまで盛り込んでいるんでしょうかね?
その背景には、多くの人材を日本に送り込んでくるだろうと期待していたベトナムやミャンマーなどの動きが関係しているんです。
ベトナムやミャンマーは、
・介護分野ではトラブルが多くなる
・求める日本語能力が高すぎる
・『介護福祉士』に合格できなければ帰国しなければならない
・自国での介護人材の育成が差し迫った状況・課題ではない
などの理由から日本への介護人材の送り込みに消極的になっているんですね。
なので、予想外だった日本政府としては、日本語能力を引き下げることで、多くの外国人の介護人材を確保しようとしているんです。
でも、本当にそれで大丈夫なんでしょうか?
人材さえ確保できれば日本語能力がなくてもいいでしょうか?
2008年に外国人の受け入れを始めた当時から、外国人を受け入れる介護現場の9割が、『N4』レベルでは全く仕事にはならずリスクが高いので『N3以上』の能力を求めていたそうです。
9割ですよ、9割!
9割の介護現場でそう言っているんです。
それなのにそれを無視して。。。。
『介護』に限らず外国人の人材を受け入れるということは、現代社会においては更なるグローバル化や他国の異文化にも触れられるといったメリットも多々あると思います。
しかしその反面、文化・習慣が違うからこそのトラブルや治安の悪化、又は高額な仲介料を徴収する悪質な紹介業者の出現、不法労働者などのデメリットもあります。
『介護』というのは、当然のことながら、若者相手ではなくお年寄りが相手の仕事ですよね。
私達の親の年代、つまりは今のお年寄りは、まだまだ外国の人と接する機会は多くなかったはずです。
なので、戸惑いや不安などを感じるのではないでしょうか。
まして、認知症のお年寄りであれば尚更です。
母の介護をしていて思うことですが、子供の頃から何十年と一緒に生活してきた親子でさえも、意思疎通がうまくいかないこと、理解してあげられないことも多くあるんです。
イライラしたり、時には声を荒げてしまうことだってあります。
それなのに人材確保のためだけに日本語もろくに話せい外国人が介護の仕事に就くというのは、親を預ける家族にとってはとてもとても不安で心配です。
認知症の場合には、言葉もすぐには出てきません。
意味のわからないようなことも言ったりします。
そのような人達の集まる現場だからこそ、相応の、それ以上の日本語能力が大切なんじゃないでしょうか?!
これから超高齢化社会となることを考えれば、確かに人材確保は急務で大切なことだと思います。
けれど、安易な受け入れをして日本語がしゃべれないことによって何か問題が起これば、介護施設事業者にとっても、利用者にとっても、外国人実習生にとっても大きなマイナスでしかないと思うのです。
なので、片言の日本語なんかではなく、しっかりとした日本語能力をもっていることが何よりも望ましいと私は思うのですが。。。
人材確保だけに捉われずに、介護施設事業者も、利用者も、外国人実習生も皆なが心を通わせてお互いの信頼関係が築けるような制度や仕組み・状況を考えてもらいたいですね。
『量』より『質』を重んじるべきなんじゃないかと私は思っています。
この外国人介護実習生の受け入れ、今後どのようになっていくのか注意深く見ていきたいですね。
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